東信『Distortion × Flowers』

Distortion × Flowers

また代休でフラフラしていた月曜。ちょっとした買い物のために向かった表参道で、まずはZakkaでいろんな器に触れてほっこりした後、GYRE3階のEYE OF GYREで東信の個展『Distortion × Flowers』展を観る。AMPGを閉じた後の東京での初個展。エフェクターと花との化学反応、という言葉はすごくステレオタイプで凡庸かもしれないとはいえ、その凡庸さも許容するような猥雑な展示でとても格好良かった。展示オープン初日、床に設けられたスペース内に敷き詰められた花々を踏みつけながら行われた東信+αでのライヴを経てそのまま放置された、痛んだ花々たちに埋もれるエフェクターの姿と、壁に並べられた瑞々しく美しい花々に埋もれるエフェクターの写真、そしてそのライヴ*1を編集した映像等々が並べられた展示で、シンプルながらも質・量ともに十分で凄く楽しめる展示だった。
音を人工的に編集・加工するエフェクターと、どれだけ人の手が加わろうとも自然に咲き朽ちる変化を免れない花との異種混交、四角く素っ気ない機械に過ぎないエフェクターと曲線的なフォルムをくずせない花との一体化、そしてそれらがショッキングなほどの“色”に溢れて写る写真、そこにあるのはある一瞬の頂にある高揚感への希求と、一瞬でしかないその脆さへの賛美のような姿勢かなと。そこで取り上げられるのが“ギター”ではなく“エフェクター”なのは何故か、ていうのはタイトルにあるように音自体ではなくその音を有限/無限に変容させるようなDistortionへの視点故だろう。それは花を扱う際の否応のない制御不能性に近しいものだろうと思える。
で、様々な種類があるエフェクターを、それぞれに1種類ずつの花と同居させ撮られた写真がたくさん並べられていたけれど、それがどれもホントに格好良くて、またそれが買えない価格では全然なかったものだからしばしそれらの前を行ったり来たりしながら、どれ買おうかと悩んでしまう。結局買わなかったのはその後スタッフの人と色々話す過程で、一人盛り上がっていた気持ちが落ち着いたことと、そこで販売されていたパンフレットが充実していたからそこに満足したからだけど、しかしあれは一時とはいえ本当に欲しくなった。5年後くらいに、買っておけば良かったと後悔する自分を想像しちゃったりもする。
そのスタッフの人と話す中で聞いた、会場での2度目のライヴというのは、若干の障壁はありつつもすぐにでも実現できそうっていう雰囲気で、実際東信のブログでも詳細は後ほどという形で告知されていたのだけど、しかしまだその詳細が発表されない。早ければ明日22日金曜日にあるとのことでそれは是非観たかったんだけどな、やっぱり障壁は大きかったんだろか。最終日直前にも予定したいという話だったから、明日が駄目でもせめてそっちは実現して欲しい。

*1:こちらは実際は来場者に披露されたライヴではなく、その当日朝に撮られた映像とのことだけど。