LUISA LAMBRI展@ギャラリー小柳

luisa lambri

静かで私的な空気を漂わす建築写真を撮るLUISA LAMBRI。ギャラリーには、ガラスのはめ込まれた白いシンプルな額に収められた写真が7枚。一枚だけあった、金沢21世紀美術館を撮った写真が凄く綺麗だった(写真)。21世紀美術館のとある中庭の隅、そこを四角な窓の内側から眺める視点。角度を持った視線を通して2層のガラス窓の向こうに見える樹はぶれていて、そんな写真と写真を眺めるこちら側を遮るガラスに薄っすらと映りこむギャラリー内の景色がかぶることでより透明性を帯びていくような、若しくは、写真表面とその前面に存在するガラスとの隙間、その薄い空間にその前後の空間(写真に写し取られた向こう側と、写真のこちら側の鑑賞空間)が一挙に圧縮されたような印象。なんだか適当な描写だとは思うけど、色んなレイヤーに色んなものがあってその全てが見えるのにどの具体的な一つにも焦点が合わないようなそんな透明性。えーとまたは、風に揺れ続ける樹々の枝葉とその向こう側の景色をぼーっと眺めるような、そんな感じ。他の作品も、なんだか良かった。私的な「記憶」とか「経験」とかがLUISA LAMBRIについては言われるらしいんだけど、確かに個に依拠する儚い時間性みたいなものが感じられたように思う。
あと僕が見ていた時、広いギャラリー内には自分ともう一人スタッフの女性しかいなくて、それもそんな印象を与えた要因かもしれない。そして、一通りそれぞれの写真を見たあとそれらのタイトルを知りたくて、スタッフのいる受け付け脇のガラス棚に陳列されてた一冊の作品集を見ようと手を伸ばしたら、それ実は棚じゃなくてガラスケースだったから本に手が届くわけもなく結局はただガラスケースをパンチしたみたいな格好になってしまってホントどうしようかと思った。その後、普通に受け付けのとこに閲覧用のが置いてあったのでそれ見ました。あー恥ずかしかった。