夢 − 何故ニュータウンでここでの僕は誰なんだろ

昨日だったか今日だったか、僕は普段夢を全く見ない(覚えていない)のだけれどもたまたま覚えていた夢があって、舞台はどうやらニュータウン。中学〜高校生くらいの僕がニュータウンに住む数歳年下の子らと一緒にいる。全部で10人ほどだろうか。そこは開発の先に広がる森の中の高台で、僕らが立っているところはその高台の端、開けてはいるけれどもすぐ後ろには木々が迫るそれほど広いとはいえない野原、下方にはニュータウン開発以前からそこにあっただろう山の谷間の集落が見渡せる。その集落と僕らが立つ高台のちょうどあいだくらいの高さだろうか、大きな墓地が広がっていて、僕らはその墓地を見下ろしている。多分みんなでしばらく遊んだ後なのだろう、子らはもう自然を駆け回るのには飽きてきて今度はそれぞれが持つ切れ切れに溜め込まれた知識をひけらかそうとニュータウンの歴史を語りだすのだけれど、そのどれもがちょっと違っていて、やけに歴史がある。ニュータウンに移り住んだ世代を親に持つ彼らが、その祖先までもがニュータウンに住んでいたと思い込んでいるのだ。それはちょっと恐いことなんじゃないかと思った僕は、何故かみんなよりももっとずっと偉そうに、正しいニュータウン史を語り出す。みんながこの地とはなんら強い繋がりを持っていないのだよ、と、多分そんなことを言い聞かせ、集落に住むかれらにこそ歴史があるとでも言うようにその墓地を指差し、みなでそこを見下ろしていた。その時どこからか、空を背景にして黒く映る何かが現れて頭上を旋回し、不意に僕らに向かってくる。みな虚を突かれて慌てる刹那、避けようと振り上げた僕の左手に飛びかかるように停まったそいつは、黒光りする大きなオニヤンマだった。誰かが「早く撃てよ」と叫ぶ。右手にエアガンが握られているのに気付いた僕はその銃口を数センチほどまでオニヤンマに近づけて引き金を引いたのだけれど弾は銃の先からポロリとこぼれおちただけで、敵はそれを待っていたかのように、人差し指に強烈に噛み付いていた。