ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団『フルムーン』

ドイツから帰ってきたばかりの友人から急遽チケット余ったからと誘われ、尻尾を振るようにして乗っかった。『パレルモパレルモ』は当然のように観れなかったからホントありがたい。ピナ・バウシュ自体初見だったから上手く語れないってのが正直なところだけど、それでも僕の少ない舞台経験からどうにか感想を言うならば、期待したほどじゃないってのが率直な印象か。期待が大きすぎたのが悪く働いたのは間違いなくて、かつそれを消去してレビューを紡ぎ出すことは僕には出来ないからあくまでもその前提で書くけれど、ちょっと怠惰で退廃的な時間が舞台を覆っていて残念だった。休憩を挟んでの前半60分に後半70分は、やはりもっと短くシンプルに仕上げられただろう。前半を怠惰に仕上げ、そのコントラストで後半の激しさを強調してみせるのは露骨だし分かり安すぎる。友人とも話したけれど、想像を超えていない。水盤が設けられそこに降り注ぐ水と巨大な岩の周囲で激しい音楽の下荒れてみせるその場面、平板な存在感が均等に舞台を覆っていて既視感にとらわれる。例えばもっと音楽を抑えて水の存在を現す、また降り注ぐ水の中だからこそ人は緩やかに崩れ落ちるように音楽や水との速度の対比を見せる、とか、やりようは他にもあったんじゃないかと、まさに観ているその瞬間に考えていた。もちろんこんなものは仮定に過ぎないけれど、どうしてもハッとするような場面に出遭えなかったのが残念で色々考えてしまう。でも本当に、観れたのは良かった。
あとは『パレルモパレルモ』も観たという先輩に印象の違いを尋ねてみよう。
そういえば今月は康本雅子のソロも観たんだったが、レビュー書けるかどうか。