「踊りに行くぜ!!vol.9」SPECIAL IN TOKYO

昨日7日土曜日、「踊りに行くぜ!!vol.9」SPECIAL IN TOKYO@吉祥寺シアター。出演するのは5組で、例年ならばその中には康本雅子がいるんだけど、今はしばらくお休み中だから不参加。とはいえ、それに関わらず面白かった。

  • 鈴木ユキオ[金魚] x 辺見康孝『Love vibration』
    現代的(?)バイオリニスト辺見康孝と鈴木ユキオのコラボ。バイオリンと共鳴するように動く鈴木ユキオの身体に嘆息しつつ眺める。半ば、中空に投げ上げられた紙片が舞い落ちる中演奏する辺見康孝が格好良かった。
  • チョン・ヨンドゥ『風の合間で in the pauses ofthe wind』
    出演はチョン・ヨンドゥとイ・ユンジョン 。直前の鈴木ユキオと打って変わり、技術的にも洗練された西洋的身体と東洋的仕草が融合したような動きを見せる。滑らかな動きや一つ一つの動きを確かめるような緩急のある進行はとても静かな印象で、時折荒々しく発せられる身体と床の衝突音すらそんなトータルな印象に回収されてしまったのは凄いけれど、それはしかし良いのかどうか。舞台袖から四つん這いのイ・ヨンジュンがゆっくりと進み出るその背の上で仁王立ちしたチョン・ヨンドゥが進行方向を遠く眺めているシーンが2度ほどあったけれど、あれは凄く良かった。
  • 北村成美『パラシュュート』
    グルーヴィーでポップなJAZZ定番曲に乗せて明るく、そしてダサく踊る北村成美。ちょっとした自己紹介で会場を笑わせる場面もあり、楽しめた。トヨタコレオグラフィーのファイナリストにもなってるからそれなりの実力者と言っても良いのかなあなんて思いつつ、その身体の“重さ”がどうしても気になってしまってはまれない。ポップにたくましく“ばかおどり道”を進むということなので、その意図には沿う身体/動きだろうとは思うのだけれど、それがベストアンサーには思えない葛藤。
  • j.a.m.Dance Theatre『tango』
    出演は男女それぞれ一人ずつの計2人。で、とにかくその距離が近い。互いの息を交換しながら吸ってるんじゃないかってくらい、口を大きく開けた二人の顔が近く、そしてその場面もその前後の場面もトータルで激しい。今回の踊りに行くぜ!!で最も印象に残ってるのはこれ。
  • yummydance x トウヤマタケオ楽団『手のひらからマウンテン』
    幸福感と哀愁とを感じたのは僕だけか。トウヤマタケオ楽団の演奏をバックに連動したり散り散りに踊ったり。空間、というか平面の使い方が上手くて、yummydanceの5人が折り重なることで時に平面の1点に重心を作り出したかと思えば、また別の、5人が舞台奥から手前へと並走し競うように前後するシーンではその方向性が強く感じられて、同時にそうして走る平面が斜面であるかのように重力まで表現していた。トウヤマタケオ楽団の歌と演奏がとても良かったから、逆に次回はyummydanceだけでどんな表現になるのか観たいなと。