SUMIKA-宇都宮のハウス

東京ガスSUMIKA PROJECT@宇都宮をようやく。写真を小分けに載せるために各イエごとに。
まず今日は、西沢太良「宇都宮のハウス」を。
柱に厚さを持つ大屋根をかけただけの、平屋のワンルームの空間。構造は地盤に打ち込まれた杭が柱としてそのまま屋根まで伸びることで力を全て担い、そのため外壁のほとんどが構造的に解放された建具となり、開閉が可能。大屋根は木の梁がFRPで覆われることで全体がフワリと明るくて、その中にさらに梁が取り去られた3つのトップライトがあり、そこから差し込むより強い光が室内を移動することで自然のリズムを内部にまで取り込むっていう仕掛け。さらに床も素材が使い分けられ、それによりコンクリートとウッド、そして芝生という3つの床に支えられた空間が出来上がっている。それらの素材(?)は内部で閉じることなく、建具である外壁を開けばそのまま外部へと連続していることが分かる。
このイエはいわば、とある地表に屋根を添えただけのように在ろうとしている。
屋根から落ちる光の存在がそこが完結した場として在るんではなく、外部から連続する空間であることを常に気付かせることで、このイエは閉じることなく常に外部へと接続される。とはいえ住宅という場としての完結性が否応なく宇都宮のハウスにもあるとすれば、しかしそれはプリミティブな自然という状態からのグラデーションのような連続的変化の一段階として現れざるをえない“閉じ方”であるに過ぎず、自然への接続の意識は決して途絶えてることなくそこに在り続けることが出来るだろう。
て、何て書けば良いんだと思いつつ書き始めたものだから上の文章が若干酷いことになっているのは分かりつつもまあそれはそれとして、ホントにざっくり言ってしまえば、このイエは“外部を制御する手法によって、内部の時間を創造している”てな言い方が出来るかと。だから、宇都宮のハウスの内部空間には象徴性も抽象性もないけれど、だからこそ手に入る暮らしみたいなものがそこにあるのは確かだろう。

黒の外壁に白の厚い屋根が「宇都宮のハウス」。その奥は藤本荘介の「House before House」。

屋根に光るトップライト。晴れてればもっと強く光が差したんだろなと。



キッチンを境に変化する床。コンクリートからウッドへ。

そしてウッドから芝へ。

芝を渡るとトイレ。厠みたいな在り方で、「プリミティブ!」って思った。

外壁を開いても連続する芝。

全部開く壁=建具。

開いた壁とテラス的な外部のウッド。


壁を開いた全様。