タイムラグがリアルに。残像をリアルに。こうして少しずつ、時間を置いて書かれる言葉も蓄光塗料に光る紫外線のようにリアルなんだよ。なんて。
これも観てから大分経ってしまったけど、6月10日木曜日、『大阪・北ヤード ナレッジキャピタルトライアル2010』というイベントでのメディアアーティストパフォーマンスを、会社を抜け出して見に行った。目的は真鍋大度と石橋素による「UV laser fade out」。蓄光塗料に紫外線レーザーを照射して何千何万という点の光を残し、それぞれの照射タイミングの違いによるフェードアウトする光の明暗のグラデーションで画を描き出す仕組み。

実際に会場で行われたパフォーマンスは、会場が明るくて繊細な画は無理だったのか単純な幾何学的なイメージが多くてちょっとイマイチだったけど、しかしフェードアウトする刹那の画を観れたのは良かった。やっぱりメディアアートは“モノ”に寄り沿ってこそ面白いと思う。
続いての松尾高弘も会場のそもそもの制限や、喧噪、明るさ等で世界観を作りきれなかった様子。
和田永による「Open Reel Ensemble」は、音楽として純粋に良かった。古いオープンリール式のテープレコーダーに録音した音を素材にスクラッチしたりしなかったり。録音はもちろんその場で出来るからサンプリング&リミックスツールとしての大仰な機器ってことになるんだけど、その大仰さが愛らしくもあり、そういう側面への和田永の偏愛にも見えるパフォーマンスが微笑ましくて好感。その場での楽しさということで言えば、これが一番楽しかった。クラブとかでちゃんと観れたらもっと良いだろうな。