水平のカラー

アナログ停波の前日に、音だけを残して僕の部屋のTVは逝った。
もう十数年物だった上に、見てなくてもつけっぱなしな日常だったものだから疲弊していたのかもしれない。
映像は画面から消え、その中央で水平に発行する一筋の光と、音だけが残った。ラジオにすらならないこの黒い箱が、本当にただの箱でしかなくなって正直ちょっと寂しい。くだらなさに満ちたTV番組ていう消費材は、まさに消費材として最高だったと思う。それはとても人工的で甘美で、観るものの内部が気付かずに腐っていくような、そういう頽廃的な甘美さを備えていて……なんてのはあまりに形骸化した物言いだとしても、でもそれをポジティブに捉えられる程にTVっ子だったんだよね。けどここで一旦そこから退いてみる。何か強い意図もなく、引越しくらいの感覚で。外的環境の変化をポジティブに受け取るとどうなるか、ちょっと試してみるのが実は今一番楽だし。
とりあえず、音楽とビールと読書、な時間がしばらく増えるはず。