AFRICA REMIX

mory kante

もうあと一週間強で終わろうとしているAFRICA REMIX展@森美術館にも、二度足を運んだ。とはいえ二度目でさえ、もう一ヶ月近く前のことだけれど。
どんなもの(言葉、文化...?)にもそこから想起されるイメージというのは存在するけれども、その豊かさ/乏しさに絶対的と言ってよいほどの隔絶があるってなことを気づかされた展示だった。いくら「WE ARE ALL POST EXOTICS」*1と言われようとも、そこに“post 〜”を捉えるフラットな地平は存在しない。というか、それは自分にはまだ見えなかったと言うべきか。
ただもうアフリカは遠くてでかいトコなんだなと思うばかり。とっかかり無さすぎ。そんなわけで、ただいま展覧会本読んで勉強中。
同時に勉強の意識で購入したのがCD『AFRICA REMIX』。その帯には“まさに「今」のアフリカン・ミュージックのガイド的CD!”ていう謳い文句。別に自分がアフリカン・ミュージックに全く触れてなかったわけじゃなくて、LPで数枚(ホントに数枚だけ。)は持ってるけどそこからどう広げりゃ良いか分からなかったしちょうど良いなあと、購入。でもたった16曲しか入ってなくて、それこそ会場に設置されたジュークボックス(たしかCD6枚くらい。)くらい入ってて欲しかった。そんなこんなで、家帰ってなんとはなしにそれ聴きながらライナーノーツ読んでると、『MORY KANTE』ていうアーティストが目に留まる。

ワールド・ミュージックが広く聴かれ始めた87年にシングル「イェケ・イェケ」を欧州チャートの1位に送り込み、アフリカ音楽に全く興味を示さないようなリスナーにもその存在を知らしめたモリ・カンテ。打ち込みのダンス・ビートを多用した明快な音楽性で人気を集めた彼だが、…

その字面が何故か記憶にある気がして持ってるレコード探したら、あった。MORY KANTE/『Akwaba Beach』*2。「イェケ・イェケ」も入ってる。しかし“欧州チャートの1位”ってかなり凄いことだと思うんだけどどうなんだろう。恐らく、それがヨーロッパのアーティストだったならそのLPは今ごろレコード屋にゴロゴロしてて、持って無いにしてもその名前くらい否応なく覚えてしまうのに、この『MORY KANTE』は(日本の市場では)まったくといって良いほど見かけない。僕が買ったのも、ジャケットを眺めながら悩んだ末に、その価格(の安さ)に後押しされつつの決断だったように思うし。そう考えると、日本人のアフリカに対するイメージの乏しさは単純に距離に比例するよとか言えそうな気がしてたのが一気に崩れて、もっとずっと現実的で物理的な“輸入”の構造/ラインの在り方のせいだってことに気づかざるをえない。“周縁”の文化は、アメリカやイギリス(ヨーロッパというより、音楽面では圧倒的にイギリスだろう。)を経由しなければ決してここには届かないっていう。そしてその逆も然り、…なんだろうか。
と、なんだか悲観的に見せてみたところでその実、そっちのほうの音楽に詳しい人は少なそうだからどうにか開拓してやれなんて野望が湧いたりもする。ただ、もう少しメロディーが欲しいんだよな個人的には。


Africa Remix

Africa Remix

Best of

Best of

*1:フェルナンド・アルヴィン。展示室冒頭の作品中に掲げられた言葉。良い。

*2:Amazonで同名のCDが見つからない。CD化してないのか、タイトルが変わったのか。