April to May

街に出たくはないながらも無為に過ごすのも癪だった昨日、結局近場のレコード屋へ出かける。黄金週間的な祝祭感を感じずに済むそこは、もう少し高く買ってくれよ新宿のあそこではいくらで売ってるんだぜ、と持参したレコードの買い取り価格に食い下がるオヤジや、20代後半の風貌を漂わせつつSupremesの「〜 A GO GO」の再発を手に取る若者などがいる、いつもと変わらぬ定常な時間の流れる空間で、そこで僕はラッツ&スターの1st(大瀧詠一プロデュース)や見知らぬ80's盤、マガジン付録のLPなどを適当に買う。その店の程近く、系列の他店舗にも足を延ばしそこではCoco d'OrとTujiko NorikoのCDを購入。
Coco d'Orは元speedのhiroによるJazzプロジェクトのための変名で、発表当時からその意外性への高い評価で話題になっていて僕はとあるmixCDで1曲だけ聴いていたのを購入。名曲ばかりのカバーはその歌唱表現も含め何かが抜群に良いというものでもないけれど、いかにも日本人らしいアクのある歌声はしかし流し聴けばどんな引っ掛かりも残さずすんなり届いてくる。て、こんな描写で良いのかってのは自問するところだが、周辺の評判ばかりが既に積もり積もって曇ってしまった僕のフィルターでは、先入観ほどの確かなものは他にはもはやないのだ、といったところ。
それよりもTujiko Noriko『少女都市』がとても良かった。僕が既に持っている2枚(『Make Me Hard』と『From Tokyo To Niagara』)よりもこれが好き。それら2枚に見る“Tujiko Norikoらしさ”とでも言うべき、うねるように漂う彼女の危うい声音とその裏で絶妙にズレて響く音の連なりたちはまだその印象をおぼろげに現す程度であり、それは逆に言えばまだ完成された強度を持たない弱い音とも言えるのだけど、とはいえそれは僕が今聴きたい音に比較的近かったのだ。
帰りに根津神社つつじ祭りに咲くツツジを覗きに行ってみたけれど、もう陽も落ちてしばらく経ち暗く人もまばらなそこでは祭りの残滓もツツジの咲く景色も闇に消し去られていた。シートに覆われたいくつもの露店に挟まれた細い石畳を歩いていると、両脇から襲ってくるあらゆる匂いに鼻がやられ、たとえば野良犬に纏わりつくあの懐かしくも卑しい香りが鼻腔で合成されるよう。
帰って、こないだ頂いた麹町にあるPatissier Shimaのマカロンを頬張る。ボロッっと崩れるような外側と香ばしいクリームはARDEURやPIERRE HERMEに比べれば庶民的とも言える味わいなんだけど、でもその親しみやすさがとても好き。コーヒー味(?)のマカロンは相変わらずとても美味い。


↑これよりも好きな曲があるけれどYouTubeにはこれしかなかったのでとりあえず。

CoCo d’Or

CoCo d’Or

Shojo Toshi

Shojo Toshi