true/本当のこと

8日土曜日、ダムタイプ藤本隆行ディレクションによるハイブリッド・パフォーマンス『true/本当のこと』@シアタートラム。ヒトの知覚/感覚に疑問を投げかけ、世界とのより自覚的な関わりを促すパフォーマンス。というその問題意識と目的は凄く真っ当でそこに良いも悪いもないと思う上で、そことはまた異なる軸になってしまうのだけど、その問題意識を提示する際のテクノロジカルな面白さや驚きといった体験に、もうちょっと新たな感覚体験を期待していたんだけどな。といった物足りなさを感じてしまった。恐らくそれは単純に興味深いテクノロジーの可能性をもっと見せてくれよ、ということからもう一歩踏み込んだ欲求だったのだと思う。身体性と結びついて喩えようもなく“それ自身”であるような、そんなテクノロジーと身体表現の融合を見たかったという。
ヒトの動きと同期する音や光の構成の巧みさはもちろん凄いと思えたし、それこそ楽しめたのだけど、でもそれぞれがブツ切りでイマイチ繋がって見えなかったのはやはりまだそれぞれが、そしてそれぞれの場面の中の身体とテクノロジーがまだ独立してあったというほか無いのだと思う。言い方を変えれば、身体もテクノロジーも飲み込む“システム”が上手く成立してなかったという感じかな。その向こう側の意図ばかり透けてしまって、そうなるとその意図も左脳的に迫り来るばかりだから、単なる棒読みのように良し悪しなく流れていく。
とはいえ、僕の隣に座っていた人達は「やっぱり凄いホント凄い」としきりに感嘆していたから、システムが成立した“それ自身”として届いていた人もいたのかもしれない。んー。