TAICHI KIKAKU

12日に観た舞台TAICHI KIKAKU『眠る夢〜 Dreaming Dream WALTZ〜』についてちょっとだけ。死と生とさらにその生の在り様についての舞台だった。TAICHI KIKAKUがこれまで海外で行ってきたパフォーマンスの映像を絡めて、とある“終わり=死”を演出する冒頭を起点に、そこから異なる生の在り様に至った兄弟の物語。とはいえこれはただ観て分かるストーリーではなく表現の背後に流れる意図と言うべきもので、チラシを読んで初めて分かるあくまでも背景としての要素。主題はどこまでも舞台上に表れる“身体詩”(≒アウラ?)であり、そこにどれだけこちらが順応出来るかが評価の全てでもあるような舞台だった。
では僕にとってそこがどうだったのかと言えば、ちょっときついという印象。こちらに委ねられているようでいて、実際はかなり排他的な表現へと“身体詩”が至っているように感じられて、共感も批評もする余地がない。
4、5年前に観た舞台ではもうちょっとだけこちら側に開かれていたように記憶しているけれど、時の流れか僕の変化か。
しかし総じての印象は置いて各演者について語るならば、特にオーハシヨースケのその身体性と存在感はとても良かった。ヒッピーのような身なりにまるで幼子のような無邪気さが同居して、ただそこに立つだけで強い。オーハシヨースケを観るために行くのも悪くないかもしれないと思っている。