京都

京都国立博物館を出て、あまりの気持ちよい空気にしばらく歩く。ちょうど閉館時間の18時頃だったか、西向きの京都国立博物館を出たまさにその正面に沈もうとする太陽が、まるであの「印象」のように空と雲を染めながら在って、ただただ美しい。天頂を仰げばまだ青空、そこから西へと視線を落とすに連れて染まっていく空と、そこに曖昧さを添えるように薄くかぶさってくる淡い雲のバランスがなんとも言えず、空ばかり眺めながら歩いていた。しばし歩いて鴨川沿いにさしかかれば、頭上は街路樹に覆われる。そこにチラホラとある桜は、葉桜だけれどもまだしっかりと咲いているものだから、それを見続けようとばかりについ歩きすぎてしまった。
狩野山楽・山雪」展の厚い図録がずっしりと手のひらと肩に響いてきたのはもう少し後でのこと。