夏めくとある晩に、会社の御大とも呼べるCDを含めた小さな飲み。新たなコンペに向けた志を共有すべく、無闇にはじけるでもなく、手探りな核心を狙い撃つでもなく、丁寧に迂回を続けながら徐々にその半径を狭めていくように飲む。CDを囲む僕らの心中に、その顔色を窺うような側面もなかったわけではないだろうけれど、それよりもこれまでの豊かな経験値をかけて臨むというその意気込みへの期待が、適度に場の重力を増して地を踏みしめるように作用したというか。
そうして(あまり表には出さずとも)期待に胸躍る一方、どうにも窮屈な冷静さが抜けなかったのは、普段あまり着ることのないスーツに身を包んでいたからだろうか。どれだけ暑くてもスーツの上着は脱ぎたくないからなあ。