ARCHITECT/2.0

日曜日に本谷有希子を観た後、そのまま表参道まで出て『ARCHITECT/2.0』を観てたんだった。その副題は「WEB世代の建築進化論」となっているのだけど、正直その言葉に大した意味が内在しているとは思えない、というのはそこに“WEBが普及している社会と同時代である建築”という程度の意味しか込められていないから。つまりは「ハイテクノロジー世代の建築進化論」というのと同義なわけで、そこに全く意味はない。技術が進化していく限り、それはどの時代の展覧会でも言えてしまうことだよね。というのは、実際細かく突くようなことではなく、推して計れよということなのかもしれないけど、しかし決してWEBを介した新たな設計プロセスであったり、脱ヒエラルキー的な建築であったりが現れていないその展示を観る限りでは、やっぱりそのタイトルへの疑問は拭いようがないというのが正直なところ。例えば「WEBによる変革の只中にあって建築はどう変わっていくか?」というような問題意識があったのなら、それもっと分かりやすく謳うべきだろうとそう思ったよ。
さてと、GYREの展示会場自体は『ARCHITECT/2.0』の展示会場であると同時に『ARCHITECT TOKYO 2009』の共通展示会場でもあるので、空間内には菊竹清訓にはじまり、伊東豊雄妹島和世西沢立衛、その他もろもろ(多すぎて書くの面倒になりましたすみません)の展示がある結構贅沢な空間。
それらのほとんどが何かしらのシステムを確立したような振舞いでデザインのプロセスを踏んでいく、そんな手つきを見せる展示になっている。それらは会場にいた客のリアクションを見ていれば、特に学生にとっては有効なヒントとして映っていたようだったけれど、やはりそこからちょっと離れて眺める目には“ぽい”だけのシステムとより厳密に設計されたシステムのそれぞれの可能性の落差を感じさせたし、そこについて考えさせられた。
システム自体の正誤を語る基準なんてほとんど無いに等しいと分かった上で、しかしその独自の突き詰め方の深度はどこかで明らかな落差の基準になってくる、そう強く感じさせる展示になっていたと思う。
とそんなことを感じた上で、平田晃久、中山英之、mashcomixの3者の展示が面白かった。『ARCHITECT TOKYO 2009』の他会場の展示は、どうにかやはり全部観ないといけない。